虚実と言うのは、指圧の場合では体表に触れた時感じるある種のタッチのことです。指圧(鍼灸でも同じと思いますが…)ではよく「ここに『虚実』があるよ」などと表現しますので、あたかもそこに虚実と言う「もの」があると勘違いするようです。しかしこれはちょっと不正確な表現なのです。虚実というのは「もの」(例えばコリとか腫れとか炎症とか…)ではなく、元気のない(または元気過ぎる)状態を表現する言葉なのです。

例えば幾ら健康的に小麦色に肌を焼いても、どうも顔に生気がない元気のない感じなら、だれでもが「元気ハツラツだね!」とは感じないでしょう。それと同じです。その元気の無さは主観的な印象によって判断されたわけですが、大体感じた通りの場合(例えば病気あるとか…)が多いでしょう。

つまりこれを「虚実」を用いて表現すれば、健康的に肌を焼いても元気がなければ、「あの人は虚している」と感じるという事です。そしてその虚はどこで判断したかと言えば、ものではなく観察者の直感とか印象といった主観判断によったと言うことです。

そう考えれば虚実とは「虚」というモノを探すのではなく、「虚(むな)」しく感じる場所を探せばよいと言うことになります。