●謹賀新年/2008年1月7日

あっと言う間の一年…

2007年も終わってアッという間に2008年が来たという感じです。最近は年々季節感がなくなって世の中は一年中お祭りのようです。

でも新聞やニュースを見ると痛ましいニュースが常に流されています。世の中は益々デジタル化されて便利になっているのに、その割には人間は幸福になっていないのでしょうか。

デジタル化の象徴の携帯電話にはこれでもかと色々な機能を詰め込んだタイプが発売されています。今の流行はケータイでワンセグTVが電車の中で見れるそうですが、そうまでしてテレビを見たいのですかね。

通信手段としては携帯メールが一般化しました。何をするにもメール。ちょっと連絡するにもメール。メールは大変便利なものです。でも隣の人にもメールを送るとか、親密な話しもメールでするとか、デジタルの世の中は人間関係を希薄なものにしてしまいました…などと考えるのは私だけでしょうか。

東洋医学の世界はこれとは全くの逆。いわばアナログな世界です。相手のために無駄な事を一杯して病気を治す医学です。機械でやれば速いのに手で触って訴えを聞いて、相手といっしょに頭を抱えて壁にぶつかりながら体を治すもの。およそ効率とは無縁です。

でも「いのち」はこんな人間臭いやり方が好きなんですよね。人間どうし絆を大切にしながら顔をつき合わせて治療する…。今年もアナログで行きます。そして皆さんのために邁進したいと思います。

今年もよろしくお願い致します。


●寝 冷 え/10月18日

季節の変わり目に引いた風邪…
今年の夏はちょっと異常気象な感じでした。東京では8月の初めは暑さもそこそこでしたが、中旬以降から本格的な暑さになりました。熱帯夜はそう多くなかったようでしたが、9月になると暑さと涼しさが交互に現れ夏の疲れが出た人も多かったのではと思います。実は私も暑い夜に窓を開けたままで寝てしまい、朝になったら夜中の冷えで軽い風邪を引いてしまいました。ノド風邪だったので気楽構えていたのですが、これが中々抜けないのです。咳がずっと続きました。また夜になると体が火照り、脚も冷たく冷えて足先がジーンとするのです。。咳は1ヶ月続きましたが、その後は気管支からの痰になりました。熱はないのですがどうも体調が今一歩でした。
経絡指圧・切診の手引き」で調べると…
1ヶ月以上も続いて中々治る気配が見えないので、自分の体の状態を「経絡指圧・切診の手引き」で調べてみました。咳を起す主な経絡は「肺経」です。肺経を調べると「弱い咳が出て息苦しい。風邪で呼吸器の炎症。熱っぽい」とありました。また「胃経」の歪も加わると「風邪が抜けず、咳が出て脚がだるい」と有りました。自分の症状にかなり近い証です。さらに対になる「大腸経」を調べますと「胃経」との組み合わせで「寝冷え、運動不足、冷えている、冷たいものの飲みすぎ」とあり、また「心包経」との組み合わせでは「足が冷たく、のぼせやすい、肩から首が張る、寝冷え」とありました。さらに「三焦経」との組み合わせでは「風邪気味、冷えのぼせ」とあります。
以上のチェックから自分の漢方的な歪みは「肺・大腸経」の歪みに加えて、「胃経」や「心包経」の歪が加わったものだろうと判断しました。またこれらに共通した言葉は「冷え」です。多分寝冷えをして風邪を引いたのだと思います。そして体の冷えをそのままにしてしまったのでしょう。ですから一向に治らなかったのでしょう。ちなみに翌日からタイツを履いて体を温めるようにしましたところ、体の火照りや足の冷えが消えてしまったのです。


●お父さんガンバレ…!/7月3日
私の所では女性の患者さんが多く、男性の患者さんは意外と少ないです。男性の方は私が担当するのですが、男性と女性では明らかにその個性が違います。
●女性は積極的で前向き
様々な女性患者さんを拝見していて強く感じる事は、女性には「前向きに取り組む」姿勢がある事です。来院動機は様々ですが、皆さんそれなりの悩みを抱えて来院されます。初診の施術が終わって待合室で一服しお話しをするのですが、大半の方が必ず次回の予約をされて帰ります。これは二回目以降も同じです。施術中も自分の悩みやトラブルなども打ち明けながら指圧を受けているようで、指圧終了時には指圧師との間に有る程度人間関係ができ上がっているようです。会計の時に指圧の感想を聞いたり健康面のアドバイスをしたりして、軽く談笑をしながら「次回いかがしますか?」と聞きますと、「そうですね。来週の○曜日にお願いします」とおっしゃいます。少し続けて見るとおっしゃって帰られます。そのやり取りは極く自然に流れます。このように女性患者さんの場合は計画的・積極的に利用すると言う態度なのですが、これが男性の場合は全く違います。
●男性は消極的で保守的
男性は日中は仕事をしていますので、平日か休日に来院される方が多いです。大半がインターネットで来院されるのですが、男性患者さんの傾向を一言で言いますと「疲れ切っている」というのが実感です。私などとても出来ない事ですが、毎晩深夜までの残業つづきで、パソコンとの睨めっこ。食事や睡眠も不十分で疲れを残して朝を迎え、そしてまた出勤…。こんなパターンの方が多いのです。年代は30代が多いです。体力がありますから一応無理が効きますが、そうそう続くものでもないでしょう。そんな方は一様に目に力がなく、精気がありません。男性の特徴は一様に口が重くあまり話したがりません。施術中や施術後にいろいろと話しかけてみるのですが、「はい」とか「ええ」とか「そうですね」とか、まるで会社の延長みたいでどうも口が重い。どうも男性はカミシモを着て治療院に来ているようで、ここが女性と違う所です。そしてお金を払ってそそくさと帰る。もちろん施術も一回きりです…。ここで心の中で一言呟きます。「これで終わっちゃうわけ。もったいないなあ…」。
●お父さんガンバレ…
来院される男性患者さんはほぼ全員が既婚者です。仕事や家庭生活も中堅どこと言ったところです。それだけに毎日頑張っているのですが、長引く不況から無理に無理を重ねて仕事をこなしているようなのです。体の管理はして欲しいのですが、男性は猪突猛進で他の事に均等に目を配りながらは苦手。しかも腰が重い。男性は論理的、合理的に行動する印象がありますが、実際は女性の方が合理的で行動的です。何だか男性のお株を取られた感じです。こんな事を書く私も男性なので、自分への自戒を込めて自分も生活に押しつぶされないようにフットワーク良く、積極精神で生活して行きたいものです。


●心の疲れとスキンシップ/6月19日
先日NHKの教育テレビでうつ病の特集をしていた。最近はうつ病になる人たちが増えているらしく、新聞やテレビでうつ病を取り上げる記事や番組をよく目にする。一昔前はうつ病などは一般の人には縁がないものと思っていたが、それが今では主婦や一般のサラリーマン、高齢者などにも広がり最早特殊な病とは言えなくなってしまった。精神病などとは違って本人は自分がおかしくなっている事は十分承知しているし、それを何とかしようとも思っている。しかしそんな意志に反して気持ちの方は全く力が入らず、無気力でダラリとした状態になっている。何をやっても面白くないし、したいとも思わない。それがうつ病の特徴だと言われる。専門医に言わせるとうつは「心の風邪」と説明されるが、それが下地で犯罪や自殺などのニュースが報道されると本当に「心の風邪」程度のものなのか頭をかしげてしまう。
●真面目で世渡り下手な…
心の疲れを持った人はギリギリの状態で来る事が多い。しかし治療室で話しぶりを聞いていると、意外と快活でハッキリしている。外見もキチンとしていて病人臭などは全く感じない。ところが…である。外見とは裏腹にこのタイプの人は実に真面目なのである。いい加減な事はしないし他人を責めるよりも自分の事として処理してしまう。ところが社会はそんな真面目な人を評価するどころか、更に負担を掛けるようになっている。結果その負担に耐えられず、ある一線を越えてしまうとプッツリ緊張の糸が切れてしまう…。
●原因は家庭の中にも…
指圧を受けると「あんなにヒドかったのが…」と思っていた人が、ガラッと良くなる事も多い。こちらとしては鬱の特効治療を施したわけではなく、日常的な施術を繰り返しただけだ。その方々の変化の様子を観察していると、心のアクが取れてくるとそれに連れて心のコンディションが良くなる…そんな感じなのである。うつの状態は心の緊張と虚脱感が身体動作まで奪ってしまった感じである。最初はボソボソとしか話さなかった人が、やがて治療回数が増えるに連れ施術者と人間関係ができ上がる。すると快活に会話をするようになってくる。指圧中にああでもない、こうでもない…とオシャベリをするようになる。そんな交流を繰り返すうち、いつとはなしに心のしこりが取れ、緊張が和らぐようなのだ。すると自然に体も動くようになるし、おっくうでもなくなる。要するにうつ病は人間関係の歪みから生まれたものだから、治すのには人間関係で癒すのが自然なのだなと感じている。
こんなキビシイ時代なので家を1歩でればキツイ試練があるのは、みな承知している。しかし疲れた心身を癒す「家庭」も現代は癒しの場として機能していないので、疲れは益々募りついには疲弊しきってしまう。指圧で鬱の状態が変わるとすれば、それは医学とか経絡の効果とかではなく触れ合い(スキンシップ)という人間どうしの素朴な交流で、その人の人としての本能が安心・満足するからだと思っている。


●意識不明の重体/5月22日
ある日私の書いた本を愛読して戴いている方からお電話を戴いた。この方は海外在住で現地で指圧の仕事をされておられる女性の方だ。聞くと自分の父親が自分の所に初めて尋ねて来られた時その場で発病し倒れられた。そしてそのまま自分も父親に付き添って帰国したとの事だった。診断はガンの末期。即刻入院したが意識不明の重体で現在は介護にあたっているとの事。その話しを経絡指圧通信講座の問い合せの電話で話してくれた。実際この電話を最初に受け取ったのは家内だったが、その話しを家内から聞いて私は考え込んでしまった。
●一族の思いが…
あまりに偶然過ぎる出来事に感じた。これまで一度も会いに行ったことのない娘の国に行き、元気な顔を見せたその時ガンの末期で倒れた。そして父親と共に帰国。さらに娘は例え問い合わせの合間とは言え、私の家内にその病気を話した…。その実家というのも私の居宅の近くなのだ。偶然の一言では説明できない何か因縁を感じてしまった。笑われるかもしれないが、この父親は最後の自分の姿を娘に見せに行ったのだと思う。そしてその役割が済んだとき、そこで倒れ発症されたのだ。父親にとっては最後の挨拶ではなかったか。そして付添って帰国されたのは、この父親の最後を看取れという役割を彼女が負わされたのだと思った。更に私に電話してきたのは通信講座の問い合せが目的ではなく、この父親の最後の接し方を教えてもらうために電話してきたのだ。もちろん本人はそんな意識はないけれど、そうではないかと思うのである。ではその一連の筋書きを考えたのは誰か。それは彼女の亡くなった親族の誰かではないか。多分彼女と近しい人で、彼女を可愛がっていた誰かが導いたのだと思う。ならば私はその接し方を彼女に教えなくてはならない。勝手な推理かもしれないけれど、これが私の役割なのだと考えた。そして電話をしてみた。
●想いが経絡を刺激する…
やはり終日病院で介護をしているようで手短に話した。意識もなく動きもない病人は何をやっても効果がないと思いがちだけれども、実際体内での刺激系統は生きている。表面には出てないだけなのだ。だたしこのような場合、ツボだ経絡だ整体だと言って施術しても効果は期待できない。圧すのではなく、当てるだけの指圧。それも自分がここだと思える場所にジッと手を当てる。ツボや経絡は無視して構わない。これで良い。圧が強過ぎると何らかの抵抗を示すが、気をつけてソッと当てればそれ程問題はない。あとは「ラクになってね」という想い。これである。この想いが手掌を伝わって経絡を刺激する。経絡は精神に共鳴する。圧さなくとも気持ちがあれば、その想いが経絡を刺激する。そしてその刺激は神経を介して内蔵に伝わって良い影響を与える。だから技術的な事は考えず自分の感じた通りやってみるように伝えた。これが経絡指圧の極意なのだが…。人生最後の場で指圧が効いた効かないの問答はナンセンスである。人生最後の局面では相手の手を握り、熱い想いを病人に伝えそれを感じて「オレは幸せだ。嬉しい」と思ってもらう事が一番の治療だと思っている。「体は救えないけど心は救った」。これが指圧の最後のアプローチだと思っている。


●予防接種の思い出/4月30日
インフルエンザも峠を越したが、昨年このインフルエンザの予防接種を受けた。インフルエンザは過去数回罹ったことがあるが、20代を最後に現在まで罹った事はなかった。ではなぜ接種を受けたかというと、一昨年妻がインフルエンザに罹ったからだ。40度の熱が2〜3日続き朦朧とし懲りたらしい。それゆえ妻の方から「年末にインフルエンザの予防接種を受けましょうよ」と言って予約をしてきた。
言われるまま、というより半ば強引に知り合いの医院に連れて行かれた。実は私は薬が嫌いである。大嫌いなのである。腕にブスリと注射をしているドクターを見ると「よくあんな残酷な事ができるものだ」と感心してしまう。妻は肩に注射を打たれても涼しい顔をしている。「旦那さんはネブライザーの方がいいですよね」と言いながら、ドクターはスタッフに「君、3mg入れて」なんて言っている。ネブライザーとは酸素吸入器みたいなもので、それを使ってワクチンを吸入する。これでも注射と同じ効果が得られるらしい。吸引は7分くらいで終わった。「副反応(副作用みたいなもの)を用心して30分休んで下さい」と言われたが、だるさが残っただけだった。
ところが2回めの接種では結構強い副反応が出てしまった。接種直後から腹具合が悪くなり下痢をした。頭もボーとしている。夕方になると更にだるく熱っぽくなり、ノドもいがらっぽくなった。食欲もなくやっと夕食を取る。これはもう典型的な風邪の症状だ。ただ不思議なのは不快な気分はない。というよりこれ以上悪くはならない…、そんな感じのする不快感なのだ。しかし症状的には辛かった。夜中の3時まで胃が苦しくて眠れず、「予防接種でこんなに苦しむなら来年は絶対受けないぞ」と思ったものだ。翌日には回復したのだが、脇腹に軽い筋肉痛が残った。
さて正気に戻って昨日の症状は何だったのか考えてみた。インフルエンザの予防接種は体調のよいときに医師の診察と説明を受け納得の上で受けることになっている。事実その日の体調も不調ではなかった。しかし実際接種を受けて辛い副反応を我慢しても、予防率は40〜50%くらいなのだそうだ。知り合いの医師には申し訳ないが、複雑な気持ちになってしまったのは言うまでもない。


●自分が風邪を引いた時…/3月30日
久し振りに風邪を引いてしまった。一月に風邪のコラムをアップした手前、シーズン中の風邪には特に注意をしていた。三月も下旬になってインフルエンザも下火になったと油断したせいか、数日前から体が冷えだし、お腹の不調を覚えるようになった。まあ大丈夫だろうとタカをくくっていたのが悪かったのだろう。二日めあたりからどこと無くダルく体が冷え、鼻水も結構出るようになった。次の日、小雨の中を一日外出したのが悪かったのか帰宅した直後からひどい悪寒を覚えた。さすがにいけないと思って、早々に寝床に潜り込んだが今度は寒気が止まらない。布団の中でガタガタ震える始末。「こりゃあ、熱が上がるな...」と思って観念した。ご存じの通り寒気は体の体温調節中枢のセットポイントが上がるためで、平常は平熱にセットされている。しかし風邪に感染し発病すると体を守り抵抗するため体は体温を上げる。これが発熱という現象で、現場の医師によると発熱は体の防御反応だから安易な解熱工作は慎むべきだとの声も多い。風邪の養生が保温、安静が勧められるゆえんである。
●経絡と湯たんぽ
体温がセットポイントに達すると寒気も収まるのだが、これがなかなか収まらなかった。そこで湯たんぽを入れた。体中に寒けが走るのであちこちに当てたが、その時面白い事に気づいた。最初脚が寒いので足裏から太ももにかけて当てたが、それも「腎経」に沿って当てると心地良いのである。おしりでは「大腸経」。内またでは「小腸経」に当てると暖まった。そういえば数日前から脚(腎経)や足裏(湧泉/腎経のツボ)が冷えだし、お腹も少し下痢気味だった。更に1〜2週間前、指圧を受けた時に下肢に圧痛があり、腹部にも圧痛と緊張があった事に気がついた。これらの「証」から判断するに、「腎経」の冷えから「大腸経」を歪ませ風邪に罹りやすくなったのだと思った。ではなぜ脚の「腎経」の冷えたのかだが、それは腹部の圧痛緊張が下地になったのだろう。圧痛緊張はお腹の不調を示すからそれが体調の低下の原因で、そして脚の「腎経」の冷えから風邪を誘発させたのだと気づいた。
●冷えからきた風邪。でも…
そこで脚を暖め、食事を玄米粥にして養生してみた。幸い翌日には熱が下がり平熱に戻った。最初はすわインフルエンザかと思ったが、「証」を総合すると実際は冷えから来た風邪だった。思いのほか早く治ったのは経絡の歪みが小さかったためだろう。しかし一番反省すべき点は腹部を歪ませてしまった原因である。夜更かしや暴食などの生活の不摂生は否めない。人さまを治療する人間として、反省しなくてはならないと思った次第です。